Dislocation of the Acromioclavicular Joint Type I, II, V

肩鎖関節脱臼は、損傷程度により I, II, III 度に分けられ、男:女の発生率では 78.2% : 21.8% で圧倒的に男性が多く、多くは交通事故、転倒によるものである。スポーツによるものでは柔道が 75% を占め、また柔道外傷の 74% が肩鎖関節に関する損傷であることは興味深いことである。新宿鍼灸柔整専門学校付属施術所と日本伝統医療科学大学院大学付属医院との医療連携(統合医療)により、治療や経過観察を行ったタイプ I, II, III の各々の症例を報告する。

負傷名: Dislocation of the Acromioclavicular Joint TypeV
症例: 42才 男性
負傷原因: 自転車で走行中、前輪が引っかかり前のめりに転倒、その後すぐに救急車にて近医へ搬送された。
来院目的: 肩鎖関節脱臼 V 度と診断され Ope を勧められたが、本当に Ope が必要なものかセカンドオピニオンを求めて来院した。
臨床症状: 右肩鎖関節部の腫脹著明、圧痛著明、患部変形高度、疼痛性可動域制限
画像所見: 初診時 外見   X-P
 烏口鎖骨靱帯(菱形・円錐)の断裂も強く疑われ、また本人の早期社会復帰の希望が強く、外科的対応を奨めた。

負傷名: Dislocation of the Acromioclavicular Joint TypeU
症例: 45才 男性
負傷原因: 草野球中にボールを捕りに行く際に転倒し受傷。
来院目的: 診断と治療。
臨床症状: 左肩鎖関節部の圧痛、凸変形、腫脹中程度、可動域制限、有痛性姿勢、ピアノキーサイン(-)
画像所見: 初診時 X-P 外見
 疼痛あるも自動運動や他動運動が可能であり、社会生活において患部安静が可能であることから、胸郭拡大と上肢下垂を制限した8字バンドとハンギング法を行い保存的に治療した。約5週間でADLの支障がなくなっている。

負傷名: Dislocation of the Acromioclavicular Joint TypeT(1)
症例: 36才 男性
負傷原因: 自転車で走行中、ガードレールに衝突し受傷。
来院目的: 他医療機関にて肩鎖関節脱臼T度、鎖骨不全骨折の疑い、遠方のため受傷から 3 日経過後に当施術所来院。
臨床症状: 右肩鎖関節部の圧痛軽度、腫脹、外転および前方挙上時疼痛、鎖骨外端部の圧痛。
画像所見: 外見所見  B mode 超音波画像と固定
 肩鎖関節の転位は I 度の範囲であったが、鎖骨端部での圧痛があり、ADL に支障が認められた。肩鎖関節への機能的ストレスを軽減するため、8の字帯で固定した。5週間ほどで運動痛や圧痛がほぼ消失し、疼痛性運動制限がなくなった。

負傷名: Dislocation of the Acromioclavicular Joint TypeT(2)
症例: 42才 女性
負傷原因: 3ヶ月前に酔っていて転倒し受傷
来院目的: 痛みはあったものの医療機関には行かず自宅にて湿布等で自己管理するも、なかなか痛みがとれず心配で来院。
臨床症状: 左肩鎖関節部の腫脹軽度、圧痛軽度、重いものを持つと痛む、左鎖骨外端部の圧痛。
画像所見: X-P 所見
 日常生活において、できるだけ上肢の下垂を制限するように指導した。画像検査により、なぜ痛みが持続したのかが理解できてことから安心したようだった。紹介者の友人から、その後の経過を聞く限りでは、2週間ほどで疼痛、腫張軽減し、ADL への支障がなくなったとのことだった。

日本肩関節学会肩鎖関節脱臼評価案によれば、治療成績を疼痛 30 点、易疲労性 20 点、日常生活動作 10 点、可動域 30 点の 90 点満点で評価される。多くは治癒成績平均 80 点と良好であることが知られている。いくつかの例では関節症変化を認め、今後の関節症変化の増悪が危惧されることも示唆されており、そのことから、肩鎖関節への K-wire の刺入による関節軟骨や関節円板の損傷が関節症変化を生じる最大の原因かもしれないと考えられている。I 度からII 度では、初期に簡単な固定だけで整復せず放置する方法で、早期より肩関節の運動開始し約 80 % にほぼ満足すべき結果が得られているが、保存的治療の欠点とされる肩の違和感、易疲労感等を訴える症例やスポーツによる投球動作に対する影響については、検討を要すると考えられている。コンタクトスポーツにおいても、保存群の成績は観血的治療群と同様であった。
スポーツによる肩鎖関節脱臼に対しては肩関節可動域制限や筋力低下をきたさないよう、早期より積極的なリハビリテーションを行い早期復帰を目指すことも一つの治療法として考えるべきである(三上真弘: 埼玉医科大雑誌 Vol. 10, No. 3, 1982)という意見もある。

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