平成13年10月1日から平成14年6月11日の間、オフィス街にある医院で加療した上腕骨外側上顆部痛(いわゆるテニス肘)の患者(36名)の性別、年齢、原因、通院期間、投薬・局所注射の有無などを治療記録を元に調査した。その結果の特徴を述べるとともに、治療内容を検討したので報告する。
(fig 1:全患者一覧表) (fig 2:通院期間)患者数; 36名
性 別; 男25名(69%)女11名(31%)
年 齢; 37才〜76才(平均53.4才±8.03)
原 因; ゴルフ(14例38.8%)、絵画(1例2.7%)、水泳(1例2.7%)、荷物を持つ(1例2.7%)、掃除(1例2.7%)、給仕(1例2.7%)、衣類をたたむ(1例2.7%)、ジャガイモ皮むき(1例2.7%)、バトミントン(1例2.7%)、草むしり(1例2.7%)、体を支える(1例2.7%)、不明(12例33.3%)
通院期間; 1〜280日(平均92日)
投 薬; 有り7 名(19.4%)、無し29名 (80.5%)
局所注射した患者; 2名(5.5%)。物理療法などでの経過不良例に対し、1名は初診から150日目、あと1名は90日目に施行した。
過去の文献に比べ今回の調査では男女比において約7:3と圧倒的に男性が多かったが、これは調査の対象となった医院がオフィスビル内にあるという地域性からの特色と思われた。発症の原因でゴルフが多かったことも、同じ理由によりその傾向を示していると思われた。
上腕骨外側上顆部痛は、いわゆるテニス肘ともいわれるが、今回の調査で発症の原因としてゴルフが多かった事は、本肘部痛がどのような機序で生じるのかを考える上で興味深いことと考えている。ゴルフが原因で発症した患者の多くはビジネスマンとしての仕事に加え、職務の一部として平日や休日までもゴルフラウンドを強いられる様な役職にあり、患部は極度の疲労状態に追い込まれていたのではないかと推察できる。テニスやゴルフに限らず、上腕骨外側上顆部痛は種々のスポーツや日常動作において発症する可能性があると考えられるが、いわゆる使いすぎ症候群といわれるように、過負荷を与えればその原因となる事は言うまでもない。本症状は予防こそが重要で、疼痛誘発動作を可能な限りなくすこと、個々の運動特性や競技特性を考慮した上で前腕伸筋群への負担を分析し、フォーム等の動作指導および訓練が大切であると考えられた。
グラフ(fig 2)で表されたように、通院期間においては、約90日目までに治癒に至るケースが半数以上を占めており、90日目ぐらいを境目として治癒遷延と判断できるのかもしれない。局部注射に至った症例は、90日以上理学療法を施行していてもあまり効果がなかった2例であったが、調査した医院の治療方針が初診からすぐに注射での処置を行わない点もあり、時期的に適切であったかどうかについては検討できなかった。
・上腕骨外側上顆部痛患者についての調査をした。
・結果の特徴を報告し、治療内容を検討した。