

講道館柔道の創始者であり、柔道整復師の社会的信頼を勝ち得るために方向性を示してくれた嘉納治五郎師範の訓えは、「精力善用」「自他共栄」「科学」です。戦国時代より派生し、地域医療の担い手として親しまれてきた柔道整復師ですが、私達が目指す統合医療に求められることと基本的な考え方は同じと理解できます。師範の説いた「精力善用」とは、学んだ医学的知識・技術は患者さんに対し有益に還元するという事であり、「科学」とは「再現性」を示し、「根拠のある判断」と「迅速且つ適切」な治療方針を示せる眼を持つことが出来るか否かという事です。そして、「自他共栄」はこの使命が十分に生かされることにより柔道整復師として社会と医療の中で協働し、力強く存在感を持ち繁栄すると言う事です。
専門学校の教育は、取得した国家資格が社会に生かせるものでなければ意味がありません。特に、医療に携わる柔道整復師の生命線は臨床力です。在学中より実践的な臨床力を修得するためには、学内に併設された病院・施術所における臨床実習を経験しながら患者さんの「心」と実際の治療現場における「厳しさ」に触れることが大切です。これを教育現場で実践するという事は、「未来を考え研究する若き教員と新しい時代を創る学生」との共同作品という事にほかならないのではないかと考えています。学ぶ学生にとってよりよい教育環境とは、決して設備やシステムだけではありません。基本は教員と学生により築き上げる信頼関係が極めて重要と考えます。その実践内容は、目指す柔道整復師の先には技術の伝承という職人のような側面と、再現性のある科学の側面があることを理解して学んで欲しいと考えます。