専門学校が今アツい!大学とは違う「単位制」と「第三者評価」で広がる未来の働き方

専門学校が今、大きく変わる!注目の「単位制」と「第三者評価」をわかりやすく解説。大学との違いや、新制度で広がるキャリアの可能性を受験生・保護者向けに紹介します。
導入:なぜ今、専門学校が注目されているの?
将来の進路を考えるとき、「専門学校」という選択肢が、今、これまでになく大きな注目を集めています。実は、専門学校(正式には「専修学校」)は、制度が始まってから約50年という節目を迎え、過去最大級の変革期に突入しているのです。
その変化のキーワードは「単位制」と「第三者評価」。
なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、心配はいりません。これらは、専門学校での学びを、あなたの未来のキャリアにとって、より信頼でき、価値あるものにするためのポジティブな改革です。
ここでは、これらの変化が何を意味し、これから進路を選ぶ君たちにどんなメリットをもたらすのかを、分かりやすく解説していきます。新しい時代の専門学校を知り、君の未来の可能性を広げるためのガイドとして、ぜひ最後まで読んでみてください。
——————————————————————————–
1. 専門学校って昔と違う?歴史をカンタン解説
今の大きな変化を理解するために、まずは専門学校がこれまでどんな歴史を歩んできたのか、少しだけ振り返ってみましょう。
1-1. 「各種学校」から始まった専門教育の原点
1976年より前、今私たちが「専門学校」と呼んでいる学校の多くは、「各種学校」というカテゴリーに分類されていました。
この「各種学校」の大きな特徴は、小学校や高校とは違い、法律でその目的や内容がはっきりと定義されていなかったことです。そのため、非常に多様な学校が含まれる一方で、教育制度上の位置づけが少し曖昧な存在でもありました。
しかし、その役割は決して小さくなく、1975年(昭和50年)の時点では全国に約8,000校、約120万人もの生徒が学んでおり、社会にとって欠かせない教育機関となっていました。
1-2. 「専修学校」制度の誕生とその意味
こうした背景から、1975年に新しい法律が作られ、「専修学校」という制度が誕生しました。目的が曖昧だった「各種学校」の中から、「職業に直結するプロを育てる」という明確な目的を持った学校を独立させ、公的な教育機関として位置づけたのが専修学校制度の始まりです。
大学が“理論や研究”を中心に学ぶ場所だとすれば、専門学校は“実践と即戦力”を育てる場所。
法律では、専修学校の目的を「職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図る」ことと定めています。これにより、専門学校は社会で即戦力となるスキルを身につけるための、信頼できる公的な教育機関としてスタートしたのです。
| 各種学校 | 専修学校 | |
| 特徴 | 目的や内容が法律で明確に定義されていなかった | 職業や実生活に直結する能力の育成を目的とする | 
| 位置づけ | 多様で幅広いが、教育制度上の位置づけが曖昧だった | 学校教育法の中で明確な位置づけを持つ教育機関 | 
そして約50年の時を経て、社会の変化に対応するため、専修学校は今、次なる大きな変革の時代を迎えています。
——————————————————————————–
2. 今、専門学校が大きく変わる2つの理由:「単位制」と「第三者評価」
今回の改革の柱は「単位制」と「第三者評価」の導入です。これらは、専門学校の教育の質をさらに高め、学びの柔軟性をアップさせるためのものです。一つずつ見ていきましょう。
2-1. 授業時間より“学びの成果”へ。「単位制」のポイント
これまでの専門学校は、主に「年間800時間以上」といった総授業時間数で教育課程が管理されていました。これは、どれだけ学んだかという「プロセス(過程)」を重視する考え方です。
それに対し、新たに導入されるのが「単位制」です。これは、学習の「アウトカム(成果)」を重視する考え方です。「単位」とは、一つの科目の内容をきちんとマスターしたことの証明であり、1単位あたり45時間の学習(授業時間だけでなく、予習・復習などの準備学習も含む)に相当します。
この「単位制」には、学生である君たちにとって、大きく3つのメリットがあります。
- 「できるようになったこと」が証明される
企業にとっても、「このスキルを習得済み」という単位の方が、「800時間授業を受けた」という時間報告よりも、あなたの能力を即座に理解できる、分かりやすい「能力証明書」になるのです。君が何を学び、何ができるようになったのかが、社会に対してより明確に伝わるようになります。
- 学び方の柔軟性がアップする
単位制は、一度社会に出てから再び学び直す「リカレント教育」や「リスキリング」にも非常に適しています。必要な単位を積み上げていくことができるため、多様なライフスタイルに合わせて、キャリアに必要なスキルを柔軟に学んでいくことが可能になります。
- 国際的に通用しやすくなる
大学などでは当たり前の「単位制」は、実は世界標準の仕組みです。専門学校が単位制に移行することで、君が身につけた資格やスキルが海外でも認められやすくなり、将来、国際的に活躍する道も拓けていきます。
“時間”ではなく“成果”で評価される学びへ──
努力の『見えない頑張り』がきちんと評価される時代の到来です。
2-2. 学校の信頼を「見える化」する「第三者評価」とは?
「第三者評価」とは、ひと言でいえば「外部の専門家による、学校の健康診断」のようなものです。学校の先生だけでなく、客観的な視点を持つ専門家が学校の教育内容や運営状況をチェックし、評価します。
なぜこのような仕組みが必要なのでしょうか。その理由は、学生や社会にとって多くのメリットがあるからです。
- 教育の質を保証するため
評価を受けることで、その学校の教育が国が定めた一定の基準を満たしていることが保証されます。これにより、学生や保護者は安心して学校を選ぶことができます。
- 社会からの信頼を高めるため
実は、企業の経営者や高校の先生方の中にも、「専門学校で具体的にどんなことが教えられているのかよく知らない」という人は少なくありません。これは意図的なものではなく、多くの場合、企業のリーダーや先生方自身が大学卒業者であるため、自らが経験した進路について詳しいのは自然なことなのです。第三者評価は、こうした経験の違いから生じるギャップを埋め、学校の強みや教育の成果を社会に「見える化」し、専門学校全体の信頼性を高める役割を果たします。
- 学校自身がもっと良くなるため
専門家からの客観的なフィードバックは、学校が自らの強みを再発見し、教育をさらに進化させるための羅針盤となります。
専門学校は「生徒を相当伸ばしている」素晴らしい教育機関ですが、その価値がこれまで十分に社会に伝わっていませんでした。例えば、大学の年間授業時間数が約500時間程度であるのに対し、専門学校では一般教養科目がなく、年間800〜850時間もの時間を専門分野のスキル習得だけに集中投下します。この圧倒的な学習量がもたらす成長は計り知れませんが、これまでは「見えにくい価値」でした。第三者評価は、こうした隠れた価値を明らかにし、正当な評価へとつなげるための強力なツールなのです。
評価の本当の目的は、点数をつけること以上に、その学校が持つ本来の「価値を引き出す」(evaluation) ことにあります。
では、これらの改革は、これから専門学校で学ぼうとする皆さんの未来に、具体的にどのような影響を与えるのでしょうか。
——————————————————————————–
3. これから専門学校を目指す君に伝えたい3つのメリット
ここまでの説明をふまえて、「それで、結局自分にどう関係あるの?」という一番大切なポイントについてお話しします。
3-1. 信頼される「専門スキル」が君の武器になる
「単位制」と「第三者評価」の導入によって、専門学校の卒業資格は、これまで以上に社会から、そして国際的にも信頼されるようになります。
少子化が進み、社会がめまぐるしく変化するこれからの時代、特定の分野で深く、信頼性の高い実践的なスキルを持っていることは、安定したキャリアを築く上で何よりの武器になります。新しい制度のもとで専門学校が提供する学びは、まさにその武器を君に与えてくれるものなのです。
3-2. 多様な働き方・学び方に対応できる
「人生100年時代」と言われるように、これからは一度学校を卒業したら終わり、ではありません。今回の改革、特に単位制への移行は、専門学校が生涯学習(リカレント教育)の拠点としての役割を担っていくことを後押しします。
例えば、専門学校を卒業して数年間働いた後、キャリアチェンジのために再び専門学校に戻り、新しい分野のスキルを単位制で効率よく学ぶ、といった選択がより身近になります。
つまり、これからの専門学校は、高校卒業後の進路としてだけでなく、人生100年時代を生き抜くための強力なパートナーになっていくのです。
——————————————————————————–
4. まとめ:新しい時代の専門学校を選ぼう
今回解説してきた「単位制」と「第三者評価」の導入は、専門学校が、より信頼され、より柔軟で、社会から正しく評価される教育機関へと進化するための、大きな一歩です。
これは、ただ制度が変わるという話ではありません。専門学校で学ぶ一人ひとりの未来の可能性を広げ、夢の実現を力強くサポートするための変革です。
大学が“理論や研究”を中心に学ぶ場所だとすれば、専門学校は“実践と即戦力”を育てる場所。
どちらが良い・悪いではなく、どんな未来を描くかで最適な選択は変わります。
もし君が「好き」を仕事にしたい、「確かなスキル」を身につけたいと考えているなら、新しく生まれ変わる専門学校は、そのための最高の舞台になるはずです。ぜひ、このダイナミックな変化の波に乗って、君自身の未来を切り拓く選択肢として、専門学校を真剣に検討してみてください。